2024年1月に新設された 育児休業や育児短時間勤務を取得・利用する方の業務を代替する体制整備に対する助成金についてお伝えします。

両立支援等助成金 育休中等業務代替支援コース

制度概要

育休中等業務代替支援コース(手当支給等) とは、
育児休業取得者や育児のための短時間勤務制度を利用した労働者が行っていた業務について、周囲の労働者に手当等を支払い、代替させた場合に事業主に対して助成される制度です。

育休中等業務代替支援コース(新規雇用) とは、
育児休業を取得した労働者が行っていた業務を代替する労働者を新規に雇い入れた場合(新規の派遣
受入れを含む)に、業務を代替した期間の長短に応じた額を支給します。

支給要件

Ⅰ 手当支給等(育児休業)

① 育児休業取得者や業務代替者の業務の見直し・効率化を行う

② 代替業務に対応した手当等の制度を就業規則等に規定する

③ 育児休業取得者に7日(うち所定労働日が3日)以上の育児休業を取得させる

④ ③の育児休業中の業務代替期間について、手当等による賃金増額を行っている
・手当は代替内容を評価するものであり、労働時間に応じて支給される賃金でないこと
・手当総額で1万円以上支給していること(最低支給額の基準)
※1か月未満の場合は、1日あたり500円と比較して低い方を基準とする。

⑤ ③の育児休業期間が1か月を超える場合、
育児休業終了後に原則として原職等に復帰させ、
 3か月以上継続雇用する(就業規則にも原職等復帰を規定化する)

Ⅱ 手当支給等(短時間勤務)

①制度利用者や業務代替者の業務の見直し・効率化を行う

②代替業務に対応した手当等の制度を就業規則等に規定する

③制度利用者に1か月以上の育児のための短時間勤務制度を利用させる
※1日所定労働時間7時間以上の労働者が、1日1時間以上短縮した場合が対象

④③の制度利用期間中の業務代替期間について、手当等による賃金増額を行っている
・手当は代替内容を評価するものであり、労働時間に応じて支給される賃金でないこと
・手当総額で3千円以上支給していること(最低支給額の基準)
※1か月未満の場合は、1日あたり150円と比較して低い方を基準とする。

Ⅲ 新規雇用(育児休業)

①育児休業取得者の業務を代替する労働者を新規に雇い入れる(新規の派遣受入れを含む)

②育児休業取得者に7日(うち所定労働日が3日)以上の育児休業を取得させる

③①で雇い入れた労働者(下記に該当)が、②の育児休業期間中に業務を代替する
・育児休業取得者と同一の事業所及び部署で勤務している
・所定労働時間が育児休業取得者の2分の1以上である

④②の育児休業期間が1か月を超える場合、育児休業終了後に原則として原職等に復帰させ、
3か月以上継続雇用する(就業規則にも原職等復帰を規定化する)

支給額

Ⅰ 育児休業

表は横にスクロールできます

Ⅰ 育児休業 助成額
業務体制整備費 5万円
※ 育児休業期間が1か月未満の場合 2万円
業務代替手当 業務代替者に支給した手当の総額の3/4
※ 手当の対象人数に関わらず、支給総額を対象として計算。
※ 上限   10万円/月
※ 代替期間 12か月分まで

Ⅱ 短時間勤務

表は横にスクロールできます

助成額
業務体制整備経費 2万円
業務代替手当 業務代替者に支給した手当の総額の3/4
※ 手当の対象人数に関わらず、支給総額を対象として計算。
※ 上限   3万円/月
※ 代替期間 子が3歳になるまでの期間が対象
 (支給申請は1年ごと)

※対象育児休業取得者1名につき、「育児休業期間中に業務代替した期間」に応じて以下の額を支給。

 

表は横にスクロールできます

育児休業期間中に業務代替した期間 助成額
7日以上14日未満 9万円 <11万円>
14日以上1か月未満 13.5万円<16.5万円>
1か月以上3か月未満 27万円 <33万円>
3か月以上6か月未満 45万円 <55万円>
6か月以上 67.5万円<82.5万円>

※<>内の額は、プラチナくるみん認定事業主への割増支給額。
※7日以上の育休は3日以上、14日以上の育休は6日以上が所定労働日であることが必要

その他上乗せ加算など

加算

● 有期雇用労働者加算
対象育児休業取得者が有期雇用労働者の場合 10万円/人
※    業務代替期間が1か月以上の場合のみ対象。

● 育児休業等に関する情報公開加算
自社の育児休業取得状況等に関する情報を公表 2万円
※ 1回限り

注意事項

<支給の上限>
Ⅰ手当支給等(育児休業)、Ⅱ手当支給等(短時間勤務)、Ⅲ新規雇用(育児休業)
全てあわせて上限は以下です。

1事業主1年度につき、対象育児休業取得者と制度利用者の合計で10人まで
・初回の対象者が出てから5年間

※初回の対象労働者が生じるまでにくるみん認定・トライくるみん認定を受けている事業主は、
「令和11年3月31日までに合計50人まで」。

同一労働者の同一の子に係る育児休業・短時間勤務については、Ⅰ~Ⅲのいずれも1回に限り対象。
(ただし、Ⅱについては、支給申請は制度利用1年ごとに行う必要があります)。

また、同一の子にかかる育児休業については、ⅠとⅢはいずれか一方のみが対象となります。


<対象となる休業・制度利用>
・育児休業中に休業取得者が就労している場合や短時間勤務中に制度利用者が時間通りに勤務しなかった場合など、対象期間から除外される場合があります。

複数の期間に分割して2回以上の育児休業や短時間勤務制度を取得・利用している場合でも、
利用実績を合算できることがあります


<制度の適用開始時期>
・育休中等業務代替支援コースは、令和6年1月1日以降に育児休業が開始した場合(※)・育児短時間勤務が開始した場合を対象とします。

・現行制度のうち、出生時両立支援コース(第1種のうち代替要員加算)、育児休業等支援コース(業務代替支援)については、令和5年12月31日までに育児休業が開始した場合(※)までが対象です。
(※)産後休業の終業後引き続き育児休業をする場合は、産後休業が開始した場合


<既存制度との併用>
育休中等業務代替支援コースは、同一の育児休業について以下のコースと併用が可能です。

・既存の出生時両立支援コース(第1種)
・育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例以外)