最新【令和8年度版】人事・労務関連 法改正まとめ

こんにちは。社会保険労務士の白井章稔です。

日頃から経営者の皆様とお話ししていると、「毎年のように法律が変わって、何から手をつければいいのか分からない」という切実な声をよく耳にします。

確かに、令和8年から令和10年にかけての人事・労務分野は、過去稀に見る「大改正ラッシュ」といえます。人口減少に伴う人手不足や、働き方の多様化を背景に、企業にはより透明性の高い労務管理と、柔軟な受け入れ体制が求められています。

今回は、令和8年以降に施行される主要な法改正のポイントと、企業が今から取り組むべき実務対応を専門家の視点で整理して解説します。

令和8年4月施行:新たな負担と「情報の見える化」

令和8年の春は、全ての企業に影響がある新制度と、中堅・中小企業にとって重要な義務化が重なっています。

子ども・子育て支援金制度の創設

令和8年4月1日より、子育て支援の財源を確保するための「子ども・子育て支援金制度」が始まります。これは健康保険料に上乗せされる形で徴収されるものです。一人あたりの月額負担額(全制度平均)は、令和8年度の約250円から、令和10年には約450円へと段階的に引き上げられる見込みです。

実務のポイント:従業員の手取り額に直結するため、制度の趣旨(児童手当の拡充や育児時短就業給付など)を事前に周知し、理解を得ておくことが大切です。

男女間賃金差異・女性管理職比率の公表義務化

労働者数101人以上の企業に対し、男女間賃金差異と女性管理職比率の情報公表が義務付けられます。特に賃金差異については、「全労働者」「正規雇用」「非正規雇用」の3区分で算出する必要があります。

公表すべき項目 算出方法のポイント
男女間賃金差異 女性の平均年間賃金 ÷ 男性の平均年間賃金 × 100
女性管理職比率 女性管理職数 ÷ 全管理職数 × 100

単に数値を出すだけでなく、背景にある事情(勤続年数の差など)を補足説明することで、求職者への信頼性を高めることが可能です。

 

働く環境の整備とダイバーシティへの対応

安全衛生と、多様な人材の活用に関するルールも一段と強化されます。

障害者法定雇用率の引き上げ(2.7%へ)

令和8年7月1日から、法定雇用率が現在の2.5%から2.7%に引き上げられます。これにより、従業員数37.5人以上の企業が義務対象となります。100人規模の企業であれば3人の雇用が必要になる計算です。早めの採用計画が欠かせません。

ストレスチェック義務化の拡大

これまで50人未満の事業場では努力義務だった「ストレスチェック」が、全ての企業で義務化されます。小規模な職場でも、医師による面接指導や実施ルールの策定、結果の5年間保存といった体制整備が求められます。

令和9年・令和10年:保険適用の大幅な拡大

パート・アルバイトなど短時間労働者のセーフティネットを広げるための改正が続きます。

社会保険の適用拡大(令和9年10月〜):

企業規模要件が段階的に縮小・撤廃されます。週20時間以上働く方の加入が加速し、最終的には企業規模を問わず適用される方向です。

雇用保険の適用拡大(令和10年10月1日〜):

加入要件が「週20時間以上」から「週10時間以上」へと引き下げられます。

これらの改正は、企業の社会保険料負担を直接的に増加させます。対象となる従業員を洗い出し、資金繰りへの影響を事前に把握しておくことが賢明です。

 

まとめ:変化を「選ばれる企業」へのチャンスに

法改正への対応は一見すると負担増に感じられますが、適切な情報開示や健康管理の充実は、優秀な人材から「選ばれる企業」になるための投資でもあります。

「自社は何をいつまでにすべきか」でお悩みの際は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。制度の構築から就業規則の改定まで、伴走型でしっかりとサポートいたします。

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執筆者:社会保険労務士法人総合経営サービス肥後労務管理事務所
社会保険労務士 代表社員 白井 章稔

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