2025.10.08
うちの会社は対象?助成金が使えるか分かる5つの確認ステップ
「助成金という言葉はよく聞くけれど、種類が多すぎて、うちの会社が対象になるのかわからない…」
多くの経営者や人事担当者の方から、このようなお悩みを伺います。国が企業の取り組みを後押ししてくれる返済不要の「助成金」。活用できれば大きな力になりますが、情報収集の段階でつまずいてしまうケースは少なくありません。
こんにちは。総合経営サービスです。
毎週水曜日は、企業の成長をサポートする助成金について解説しています。
今回のテーマは、「自社で申請できる助成金の見つけ方」です。この記事を最後までお読みいただければ、複雑に見える助成金の中から、自社に合ったものを見つけるための具体的な手順がわかります。ぜひ、貴社の取り組みと照らし合わせながら読み進めてみてください。
なぜ多くの企業が「うちの会社は対象?」と悩むのか
そもそも、なぜ多くの企業が「自社で使える助成金がわからない」と感じてしまうのでしょうか。申請をためらう理由として、以下のような声が挙がりました。
【助成金申請をためらう理由 TOP3】
- 第1位:どの助成金が自社に合うかわからない
- 第2位:申請書類の作成が難しそう
- 第3位:そもそも、どんな助成金があるのか知らない
この結果からもわかるように、「情報の複雑さ」が大きな壁となっています。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、自社が対象となる可能性のある助成金を見つけ出すことは十分に可能です。ここからは、そのための具体的な5つのステップをご紹介します。
ステップ1:まずは自社の「現状」と「未来」を整理する
助成金を探す前に、まずは自社の状況を客観的に把握することが大切です。助成金の多くは、企業の「行動計画」に対して支給されるものだからです。以下の項目について、簡単に書き出してみましょう。
チェック項目 | 自社の状況(例) |
---|---|
従業員の状況 | 正社員10名、パート3名。全員、雇用保険に加入している。 |
最近の取り組み(過去半年~1年) | 新しく2名採用した。パートさん1名が産休に入った。 |
今後の計画(これから半年~1年) | 若手社員向けの研修を実施したい。育児中の社員が働きやすいように、在宅勤務制度を導入したい。 |
会社の課題 | 最低賃金の引き上げで、パートさんの給与見直しが必要。人手不足が続いている。 |
このように自社の「人」に関する現状や計画を整理するだけで、探すべき助成金の方向性が見えてきます。
ステップ2:助成金の「目的別カテゴリー」を知る
厚生労働省が管轄する助成金は、大きくいくつかのカテゴリーに分かれています。自社の計画がどのカテゴリーに当てはまるか考えてみましょう。
- 人を新たに雇い入れたい:
高齢者や障害のある方、ひとり親家庭の方などを雇用する際に活用できる助成金があります。(例:特定求職者雇用開発助成金) - 従業員の能力を高めたい:
社員研修や資格取得支援など、人材育成の取り組みをサポートする助成金です。(例:人材開発支援助成金) - 働きやすい職場環境を作りたい:
長時間労働の削減、有給休暇の取得促進、育児や介護と仕事の両立支援、テレワーク導入などを支援します。(例:働き方改革推進支援助成金、両立支援等助成金) - 従業員の待遇を良くしたい:
パートタイマーなど非正規雇用の方の正社員転換や、従業員の賃金アップを支援する助成金です。(例:キャリアアップ助成金、業務改善助成金)
「うちは研修をやりたいから、『従業員の能力を高めたい』カテゴリーかな?」といった具合に、当たりをつけることが重要です。
ステップ3:公的な情報サイトでキーワード検索する
当たりをつけたら、いよいよ具体的な助成金を探します。信頼できるのは、やはり国や公的機関の情報です。
まずは厚生労働省の「事業主のための雇用関係助成金」のページを確認しましょう。また、「助成金検索ツール」も便利です。ステップ1で整理した自社の状況や、ステップ2のキーワード(例:「研修」「育児」「正社員転換」など)を入力して検索してみましょう。
情報が多すぎて難しいと感じる場合は、管轄の都道府県労働局やハローワークのウェブサイトもチェックしてみてください。地域に特化した情報や、相談窓口の案内が見つかることがあります。
ステップ4:すべての助成金に共通する「必須要件」をクリアしているか確認する
個別の助成金の要件を見る前に、大前提となる共通の要件があります。これを満たしていないと、どの助成金も申請できません。最低限、以下の点を確認しましょう。
- 雇用保険の適用事業所であること
助成金の原資は、企業が納める雇用保険料です。そのため、雇用保険に加入していることが絶対条件です。 - 労働関係の法律を守っていること
残業代の未払いや、不適切な解雇など、労働基準法などの法律に違反している場合は対象外となります。 - 必要な書類(労働者名簿、出勤簿、賃金台帳)を整備していること
これらの書類は「法定三帳簿」と呼ばれ、適切に作成・保管されていることが審査で確認されます。 - 過去に助成金の不正受給をしていないこと
- 就業規則を整備していること
これらの基本が守られていれば、助成金活用のスタートラインに立てます。
ステップ5:「わからない」ままにしない!専門家に相談してみる
「ここまでやってみたけど、やっぱり自社に合うのか確信が持てない…」
私がご支援してきた企業様の多くも、最初はそうおっしゃいます。そんなときは、専門家への相談が一番の近道です。
助成金の申請代行は、私たち社会保険労務士(社労士)の独占業務です。多くの社労士事務所では、初回無料相談を実施しています。
専門家に相談するメリットは以下の通りです。
- 時間と手間を大幅に削減できる
- 最新の正確な情報に基づき、最適な助成金を提案してもらえる
- 申請だけでなく、その前段階である就業規則の整備など、労務管理全般のアドバイスを受けられる
助成金は、申請のタイミングが非常に重要です。取り組みを始める「前」に計画書の提出が必要なものがほとんど。「もっと早く知っていれば…」と後悔しないためにも、少しでも気になることがあれば、気軽に専門家の扉を叩いてみてください。
まとめ:まずは「自社を知る」ことから始めよう
今回は、「自社で申請できる助成金がわからない」というお悩みを解決するための5つのステップをご紹介しました。
- 自社の現状と未来を整理する
- 助成金の目的別カテゴリーを知る
- 公的な情報サイトで検索する
- 共通の必須要件を確認する
- 専門家(社労士)に相談する
たくさんの種類がある助成金も、一つひとつ手順を踏んでいけば、きっと貴社にぴったりのものが見つかります。この記事が、その第一歩となれば幸いです。
一覧に戻る