2025.04.16
【2025年版】業務改善助成金とは?賃上げ・設備投資に活用できる最大600万円の支援制度
はじめに
最低賃金の引き上げが続く中、「従業員の賃金を上げたいが、コスト増が不安」「人手不足で設備投資にも踏み切れない」といった悩みを抱える企業が増えています。そんな中、注目を集めているのが、厚生労働省の「業務改善助成金」です。
この制度は、賃上げと生産性向上の設備投資を組み合わせて支援してくれる、中小企業にとって非常に心強い助成金制度です。2025年度(令和7年度)版では、助成額が最大600万円となっており、上手に活用することで人件費と設備投資の両面で大きなサポートが得られます。
業務改善助成金とは?
業務改善助成金とは、地域別最低賃金の引上げに対応し、企業内最低賃金の引上げと生産性向上のための設備投資を行った事業者に対して支給される助成金です。
簡単に言えば、
- 従業員の賃金を一定額以上引き上げる
- 業務効率化のための設備・機器を導入する
ことで、その費用の一部が助成されます。
2025年度(令和7年度)のポイント
1. 助成金の上限額
引き上げ幅と従業員数に応じて、以下のように助成上限額が設定されています。
賃金引上げ幅 | 労働者数 | 助成上限額 |
---|---|---|
30円以上 | 1〜10人 | 60〜130万円 |
45円以上 | 1〜10人 | 80〜180万円 |
60円以上 | 1〜10人 | 110〜300万円 |
90円以上 | 1〜10人 | 170〜600万円 |
2. 設備投資の対象例
生産性向上に資する設備や機器の購入費が対象になります。たとえば:
- 自動精算レジ、POSレジシステム
- 自動チェックイン機、配膳ロボット
- 滅菌器、口腔内スキャナー、ユニットチェア
- 電子カルテ、リフト付き浴槽、自動練和機
- 特例事業者はパソコンや社用車も対象となる場合あり
助成を受けるための要件
- 企業内最低賃金が地域別最低賃金+50円以内であること
- 30円以上の賃上げを行うこと
- 賃上げ対象者は6か月以上継続雇用されていること
- 賃金台帳や労働条件通知書で確認できること
- 交付申請後(労働局が受理した後)に賃上げを実施すること
- 設備の発注・納品・支払いは交付決定後に行うこと
申請時の注意点
- 年度ごとに1回のみ申請可能
- 予算が上限に達し次第、受付終了となる可能性あり
- 経年劣化による単なる機器の買い替えや、汎用性の高い設備は対象外
- 交付申請前の賃上げは対象外
- 交付決定前の設備の納品・支払いは対象外
- 相見積書、発注書、納品書、支払証憑などの提出が必要
よくある質問
Q. 賃上げ後に申請しても大丈夫ですか?
A. いいえ。交付申請前に賃上げを実施してしまうと助成対象外になります。賃上げは、交付申請書を労働局に提出し、受理された後であれば実施可能です。
また、設備についても、交付決定前に納品や支払いが完了していると対象外になります。設備は「交付決定後」に発注・納品・支払いまで行う必要があります。
社労士からのコメント
業務改善助成金は、比較的使いやすく金額も大きいため、毎年人気の高い制度です。一方で、申請タイミングや書類の不備により、思わぬ形で不支給となってしまうケースも少なくありません。
特に今年度は、賃上げ率に応じた助成区分が細分化され、自社に合ったプラン選びがより重要になっています。申請に向けた準備はお早めに。ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
まとめ
令和7年度の業務改善助成金は、企業の「人への投資」と「業務効率化」を同時に後押ししてくれる制度です。従業員の処遇改善と職場環境の整備を両立させたい企業にとって、非常に有効な選択肢となるでしょう。
申請をご検討中の企業様は、制度内容をしっかり理解したうえで、早めの準備・ご相談をおすすめします。